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お米が高すぎる!備蓄米が放出されても下がらない「見えない構造」を深掘り解説

お米が高い
nise-nouka

最近、スーパーでお米を買うとき、思わず二度見してしまいませんか?

「え、5kgでこんなにするの!?」って。

私も初めて見たときは本当にビックリしました。

以前は当たり前のように買っていたお米が、いつの間にか手の届きにくい存在に…と感じているのは、きっと私だけではないはず。

「そういえば、小泉元大臣が備蓄米を放出すれば安くなるって言ってたような…?」

なんて期待した方もいるかもしれませんね。

でも残念ながら、現状を見ると、その効果はあまり感じられないのが正直なところです。

一体どうして、私たちの大切なお米の価格は、こんなにも高止まりしているのでしょうか?

今回はコメの流通に関する「見えない構造」を、皆さんと一緒に深掘りして、そのナゾを解き明かしていきましょう!

備蓄米の流通経路と価格形成の裏側:見えない「上乗せ」にご注目!

備蓄米

まず、お米の価格が上がっている原因の一つに、備蓄米のちょっと複雑な流通経路があります。

国が「これを使ってくださいね」と出した備蓄米が、私たち消費者の手に届くまでに、実はいくつか段階があるんです。

従来、備蓄米は一番高値をつけた業者に売却する「競争入札」で放出されていました。

しかし、小泉元大臣が価格抑制の「切り札」として導入したのは、特定の業者と直接契約を結ぶ「随意契約」です。

大臣はこれにより、5kg2,000円という目標価格で店頭に並べることを目指していました。

例えば、5kgあたり1,755円だった備蓄米が、お店に並ぶ頃には3,000円台前半になるなんて、ちょっと不思議だと思いませんか?

この間に、収荷業者卸売業者、そして小売業者という3つの業者さんを通るんですが、この流通にかかる費用が約1,300円にもなるんです。

特に注目したいのが、卸売業者さんの経費。ここがグンと高くなっているんです。

彼らは「袋代や人件費、運ぶコストが上がったから仕方ないんです」と言いますが、中には「もしかして、ちょっと乗せすぎ?」と感じるような業者さんもいるみたいで…。

農林水産省も「本当にその経費は妥当なの?」と、一部の業者さんには聞き取り調査をしているそうですよ。

そういえば、小泉元大臣が「備蓄米を5kg2,000円で店頭に並べたい!」と意気込んでいましたが、この複雑な流通の「上乗せ」があるからこそ、随意契約であってもなかなか実現が難しかったのかもしれませんね。

※参考:
小泉農林水産大臣記者会見概要|農林水産省
残念ですが、小泉進次郎大臣でも米価は下げられません…「5kg2000円」の備蓄米がもたらす「悪夢のシナリオ」|ダイヤモンド・オンライン

そもそも随意契約とは?

随意契約とは

随意契約とは、国や自治体などの公的機関が、特定の業者と直接契約を結ぶ方式のことを指します。

通常、公的な契約には「入札」が行われ、複数の企業が価格や条件を提示して競争しますが、随意契約ではそのプロセスが省略され、あらかじめ選ばれた相手とだけ話し合いを行い、契約内容を決定します。

この契約方式が取られる背景には、いくつかの理由があります。

たとえば、災害対応などの緊急時で時間的余裕がない場合や、特殊な製品・技術を扱う業者が限られている場合、または過去の実績から特定の業者に任せるのが妥当と判断されるようなケースです。

つまり、例外的な状況下で迅速かつ確実に業務を遂行するための手段として、随意契約が使われることになります。

しかしその一方で、随意契約にはいくつかの問題点も存在します。

最大の課題は、価格の透明性や公平性が損なわれやすいという点です。

競争がないため、契約金額が本当に適正なのか判断しにくく、また特定業者との癒着や不正の温床になる可能性も否定できません。

今回話題となった備蓄米の販売でも、この随意契約が用いられました。

結果として、流通が限られ、一部のスーパーでしか販売されないなど、消費者の期待とは裏腹に価格が下がらなかった要因のひとつとなっています。

本来、随意契約は例外的な手段であり、その運用には高い説明責任と監視体制が求められます。

もしも米の価格が高止まりすると、私たちの暮らしはどうなるのでしょうか?以下で詳しく解説しています。

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お米の流通ルートの変化とスポット取引のインパクト:価格を押し上げる「緊急買い」の存在

米の流通ルート

お米の価格を押し上げているもう一つの大きな要因は、流通ルートの変化と、それに伴う「スポット取引」という緊急買いの存在です。

昔は、農家さんが作ったお米のほとんど(9割以上)をJAが集めてくれていたんですが、最近ではそのJAの集荷率が半分以下、いや、昨年は3〜4割にまで減っているそうなんです。

これはどういうことかというと、JA以外にも「うちならもっと高く買い取りますよ!」という業者さんが増えたり、最近では農家さんが直接インターネットで消費者に売るケースも増えたりしているから。

直接買えるのは嬉しいですが、なんだか複雑ですね。

そして、この新しい流通の中で、特に価格に影響を与えているのがスポット取引

農家さんとJAの間で決まる通常の取引価格が5kgあたり約2,100円くらいなのに対して、このスポット取引だと、なんと約4,200円!

スポット取引って何?って思いますよね。

これは、スーパーなどで「あ、お米がなくなっちゃった!」という緊急事態になった時に、在庫を持っている業者さんに「すみません、すぐに欲しいんですけど!」と、その都度購入する取引のこと。

在庫が少ないと、どうしても価格が高くなってしまう。

そして、この「緊急買い」の価格が、知らず知らずのうちに、私たち消費者がお店で買うお米全体の価格を押し上げている、という「仕組み」になっているんです。

本当に、私たちの知らないところで色々なことが動いています。

農家の本音と今後の米価動向:高値安定は続くのか?

じゃあ、お米を作っている農家さんは、この価格をどう思っているんでしょうか?

取材した農家さんたちは「本当は5kgあたり3,000円から3,500円くらいで売れると嬉しい」と言っていました。

なぜなら、それ以上高くなると、私たち消費者が「もうお米はいいかな…」と、お米離れが進んでしまうかもしれないと心配しているからです。

でも、逆に3,000円を切ってしまうと、肥料や燃料などのコストが上がっている今、農家さんの経営が赤字になってしまうそうなんです。本当に、作る側も大変な状況なんですね。

そして、残念ながら、今後もお米の価格は高止まりが続く可能性が高いようです。

JAは、来年(2025年産)のお米の買い取り目安となる「概算金」を、今年は大幅に引き上げて、60kgあたり26,000円以上を目指す方針を出しています。

JAがこの価格で買い取るとなると、他の業者さんもそれより高い値段をつけないと農家さんから米が集まらないですよね。

つまり、夏以降に出回る新米も、そう簡単に安くはならないだろうというのが、今の見方です。

AIの予測でも、現在の店頭価格(5kgあたり約4,300円)が「高止まりで安定する確率が60%」と出ています。

しばらくは、この高いお米の価格と向き合っていくことになりそうです。

※参考:25年産米概算金 全農にいがた「2.6万円以上めざす」 県内JAに通知|JAcom 農業協同組合新聞
コメ随意契約導入と最新データが示す価格高騰の現実 ~AIが再予測する3つのシナリオと食料安定供給へのインパクト|第一生命経済研究所

まとめ:私たちのお米の価格は、誰がどう決めているの?

今回の話で「お米の価格を吊り上げているのは誰?」という問いに対して、特定の悪者がいるわけではない、ということが少し見えてきたのではないでしょうか。

随意契約による備蓄米の放出という政策も、米の流通の構造、一部の卸売業者による経費の上乗せ、流通ルートの変化、そして品薄になった際のスポット取引の高騰など、たくさんの要素が複雑に絡み合って、今のお米の価格を作っているんです。

私たちのお財布には厳しい状況ですが、この「見えない構造」を理解することは、お米の価格について考える上で、とても大切な一歩だと思います。

今後、消費者と生産者が納得できるような、もっと透明で安定した価格形成が実現することを願うばかりです。

もふもふ農場長
もふもふ農場長
モノマネ農家
実は農業経験ゼロの偽者農家「もふもふ農場長」。 本当は都会育ちで、農場での暮らしに憧れて移住したものの、畑仕事の知識は本やネットで得たものばかり。 しかし、そのユーモアと情熱だけは本物。周りにバレないように、農業を一から学びながら、少しずつ「本物」の農場長になろうと奮闘中。 モットーは「失敗してもめげない、笑い飛ばして前進する!」
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